「ITパスポートの難易度ってどれくらい?」「取得しても意味ないって本当?」
このようなお悩みを抱える方がいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、以下の内容について紹介します。
- ITパスポートの難易度・合格率
- ITパスポートを取得するメリット・デメリット
- ITパスポート試験の勉強方法
ITパスポートの受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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ITパスポートとは?内容・試験日を解説
まずは、ITパスポートについて簡単に説明します。ITパスポートの概要を知って、試験内容を把握しましょう。
ITに関する入門的知識が身につく初心者向けの資格
ITパスポート(通称「iパス」)とは、ITの基礎的な能力を証明する国家試験です。
ITパスポートは、全国47都道府県に設置されている試験会場で、随時実施されています。
試験会場によって異なりますが、月に2回以上、あるいは毎週土曜日・日曜日に実施しています。試験日時・空席状況については会場ごとに3ヵ月先まで公開されています。
会場ごとの試験開催状況を確認したい場合には、ITパスポート試験の公式サイトにアクセスして、試験開催状況を確認しましょう。
ITパスポートは、ITに関する入門的な知識が身につく資格です。ITパスポートは技術系や事務系を問わず、すべての人が対象です。
実際に、ITに関する内容だけではなく、企業活動や経営など、ビジネスで必要な知識も出題されています。
ITパスポートは社会人・学生問わず、ITの基礎知識を証明したい人すべてに役立つ資格です。
ITパスポートの試験概要
ITパスポートの試験概要は、下記のとおりです。ITパスポート試験を受ける予定の方は、確認してみましょう。
●ITパスポート試験の概要
試験時間 | 120分 |
出題数 | 100問 |
出題形式 | 4肢択一式(小問形式) |
合格基準 | ・総合評価点、分野別評価点の両方の基準を満たすこと総合評価点…600点以上/1,000点(総合評価の満点) ・分野別評価点…ストラテジ系,マネジメント系,テクノロジ系の各分野で300点以上/1,000点 |
試験方法 | CBT(Computer Based Testing)方式で随時開催受講者はパソコンに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答する |
なお、総合評価は92問で行います。
分野別評価は、以下のとおりです。
- ストラテジ系が32問
- マネジメント系が18問
- テクノロジ系が42問
残り8問は、今後出題する問題を評価するために使われます。
身体の不自由などでCBT方式で受験できない方の場合、春(4月)、秋(10月)の年2回、筆記方式の試験も実施されています。
また、ITパスポートの受験料は7,500円(税込み)です。支払った際に交付される領収書は、申込時に必要です。領収書は大切に保管しておきましょう。
ITパスポートの難易度・合格率は?
ここからは、ITパスポートの難易度・合格率を詳しく解説します。学生と社会人の方を比較すると、難易度・合格率が変わってきます。
過去問からの出題が多く難易度は高くない
ITパスポートの難易度は、高くありません。
ITパスポート試験の合格率は平均50%前後で、約2人に1人は合格しています。ITパスポートは国家試験の中でも、合格率が高い部類に入ります。
ITパスポートの勉強時間
ITパスポート試験の合格に必要な勉強時間は、平均150時間です。1日約1.5時間の学習を、3ヶ月以上続けた時間に相当します。
ただし、IT知識のない初心者の場合は180時間程度かかる場合があります。ITに関する基礎知識がある場合は100時間程度が目安です。
以上の内容から、ITパスポートの勉強時間は平均150時間ではあるものの、IT知識がある場合はもう少し短時間で済むことがあります。
ITパスポートの合格率推移
ITパスポートの合格率の推移を紹介します。
下記の表は、令和5年度4月から1月までの合格率の推移です。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | |
令和5年度 | 51.1% | 54.4% | 53.7% | 50.2% | 49.7% | 49.3% | 53.7% | 52.2% | 49.2% | 50.5% |
合格率は毎月50%前後なので、受験者の約半数は合格しています。
学生の合格率
次に、学生のITパスポートの合格率の推移を紹介します。下記の表は、令和5年度4月から1月までの学生の合格率の推移です。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | |
学生 | 39.4% | 43.6% | 41.8% | 34.7% | 35.4% | 41.3% | 41.5% | 40.8% | 39.4% | 39.4% |
学生の合格率は、毎月40%前後の推移となっています。
社会人の合格率
社会人のITパスポートの合格率を紹介します。下記の表は、令和5年度4月から1月までの社会人の合格率の推移です。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | |
社会人 | 54.5% | 56.7% | 56.4% | 54.6% | 54.3% | 51.0% | 57.2% | 55.6% | 51.9% | 53.4% |
社会人は、毎月50%以上合格しています。
合格率の推移を見てみると、社会人の方が学生よりも合格率が高いです。
ITパスポートではビジネス用語や経営に関する知識も出題されるため、社会人の合格率が高い傾向にあります。
IT関連の職に就いている人や経営者も受験者に一定数含まれているためです。
結果、学生よりも社会人の方が合格率が高まっています。
ITパスポートを初心者が取得するメリットは?意味ないって本当?
ITパスポートを取得するメリットは、以下の3つです。
- 基本的なITリテラシーを有する証明になる
- 国家試験だから就職に有利
- 上位資格取得の足がかりになる
それぞれ解説します。
1.基本的なITリテラシーを有する証明になる
ITパスポートを取得すると、基本的なITリテラシーが身につきます。
ITリテラシーとは、IT(情報通信技術)を使う際に必要とされる、情報の扱いに関する理解や操作に関する能力です。
ちなみにリテラシーとは英語の「literacy」が由来となっています。日本語では「ある特定の分野に関する知識や理解能力」という意味合いです。
ITパスポートを勉強する過程で、コンピュータシステムやネットワーク、セキュリティなど、ITに関する知識が一通り学べます。
ITパスポートで取得できる知識の具体例は、以下のとおりです。
- パソコンの基本的な操作、アプリの操作ができる
- Google検索して情報を取捨選択できる
- SNSを正しく活用することができる
- セキュリティ対策をして、プライバシー情報を保護することができる
よって、ITパスポートは基本的なITリテラシーを習得できるため、ITリテラシーの基礎を有する証明になります。
2.国家試験だから就職に有利
ITパスポートは国家試験なので認知度も高く、企業の信頼も厚いです。ITの基礎知識を持っている証明になるため、就職や転職の際も有利になるでしょう。
ITパスポートは、一度取得してしまえば一生使える資格です。定期的な更新や講習も受け直す必要がなく、手間がかかりません。
3.上位資格取得の足がかりになる
ITパスポートを取得すると、上位資格取得の足がかりになります。
ITパスポートの内容を理解することで、分野ごとの上位資格も取得可能なためです。
たとえば、セキュリティとマネジメントに重きを置いた資格「情報セキュリティマネジメント」は典型例です。
試験内容はITパスポートより難易度が上がりますが、基本的な知識を固めておくと勉強をスムーズに進めやすくなります。
そのため、ITパスポートはIT系の難関資格を目指す方が最初に取得する資格としておすすめです。
ITパスポートを取得するデメリット
ITパスポートのデメリットは、以下の通りです。
- 試験内容を直接実務で活かす機会は少ない
- 試験合格の希少性が低い
ここからは、ITパスポートのデメリットを詳しく解説します。
1.試験内容を実務で活かす機会が少ない
最初にITパスポートの資格を取得しても、実務には結びつきづらいというデメリットがあります。
理由は、以下の通りです。
- 業務独占資格ではない
- 専門性が求められていない
ITパスポートは、業務独占資格ではありません。
業務独占資格とは国家資格の分類の一つで、対象の資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を、独占的に行える資格を指します。
例えば以下の国家試験に合格すると、対象業務を独占できます。
- 医者:医師国家試験
- 弁護士:司法試験
- 会計士:公認会計士試験
ITパスポートは国家資格ではありますが、業務を独占できる資格ではありません。
直接実務に活かせる資格を求める場合には「持っていても意味がない」資格と扱われてしまう可能性があります。
2.試験合格の希少性が低い
次に、ITパスポートの資格を取得しても、試験合格の希少性が低いというデメリットもあります。
ITパスポートはIPA*が実施する「情報処理技術者試験」の1つです。
*IPAとは情報処理推進機構(Information-technology Promotion Agency)を指します。
情報処理技術者試験は難易度に合わせて12の試験があります。ITパスポートは、もっとも難易度が低いレベル1に分類されています。
対象 | レベル | |
ITパスポート試験 | IT利用者 | レベル1★☆☆☆ |
情報セキュリティマネジメント試験 | IT利用者,ITの安全な利活用を推進する者 | レベル2★★☆☆ |
基本情報技術者試験 | プログラマー,システムエンジニア | レベル2★★☆☆ |
応用情報技術者試験 | システムエンジニアなど | レベル3★★★☆ |
ITストラテジスト試験 | ITストラテジスト,上級システムエンジニアなど | レベル4★★★★ |
システムアーキテクト試験 | システムアーキテクト,上級システムエンジニアなど | レベル4★★★★ |
ネットワークスペシャリスト試験 | ネットワークエンジニア,インフラエンジニア | レベル4★★★★ |
プロジェクトマネージャー試験 | プロジェクトマネージャーなど | レベル4★★★★ |
データベーススペシャリスト試験 | データベースエンジニア,インフラエンジニアなど | レベル4★★★★ |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 組み込みエンジニアなど | レベル4★★★★ |
ITサービスマネージャ試験 | サービス運用エンジニア | レベル4★★★★ |
システム監査技術者試験 | システム管理者,セキュリティ管理者,ITコンサルタント | レベル4★★★★ |
ITパスポートは、レベル2の基本情報技術者やレベル3の応用情報技術者と比べると専門性が低いです。
そのため、IT業界の中では評価されづらい傾向にあります。
ITパスポート初心者の勉強方法
ここからは、ITパスポート初心者の勉強方法を3つ紹介します。
ITパスポート試験の勉強方法は、色々なやり方がありますが、自身に合った方法を選ぶと効果が出やすいです。
1.市販の参考書・用語集でインプット
最初に紹介するのは、市販の参考書や用語集を使って、試験範囲全体をインプットする方法です。
参考書を何度も読み込んで、全体の内容を把握していきます。
特に初心者の方は、イラストや図が使われた参考書を選ぶと良いでしょう。文章よりも内容をイメージできるため、知識が定着しやすくなります。
2.過去問を解いてアウトプット
次に、過去問を解いてアウトプットすることで、問題の形式に慣れていく方法です。
ITパスポート試験は、過去に出題された問題と似たような傾向のある問題が多く出題されているためです。
まったく同じ問題でなくても、似たような傾向の過去問を繰り返し解くことで、傾向が分かるので対策が立てられます。
しっかりアウトプットすることで、初心者でも知識の定着にもつながります。
3.通信講座を受講する
最後に、通信講座を受講することで、試験合格を目指す方法です。
「モチベーションが上がらない」「初心者でITに関する興味があまりない」という方にも、通信講座のサポート力が期待できるからです。
通信講座を受講するメリットとして下記が挙げられます。
- 戦略的カリキュラム
- 多彩で充実したコース
- オリジナルの教材
このように短期間で合格を目指すカリキュラムが組まれており、計画的に学習できるため、初心者でもスムーズに知識を身につけることが可能です。
以上の理由から、lT初心者やモチベーションが上がらない方の場合、通信講座で勉強するのも良い方法です。
ITパスポートの難易度は高くなく初心者でも取得可能な資格
この記事では、以下の内容について紹介しました。
- ITパスポートの難易度・合格率
- ITパスポートを取得するメリット・デメリット
- ITパスポート試験の勉強方法
ITパスポートは決して難しい資格ではなく、受験者の約半数が合格しています。
社会人の合格率の方が高めですが、学生などのIT初心者でも、勉強すれば充分に合格可能な資格です。
またITパスポートを取得することで、ITリテラシーが身につき上位資格の足がかりになります。経営戦略や法律などの知識も学べるため、ITパスポートは汎用性の高い資格ともいえます。
IT系を目指す方はもちろん、その他の業種にも活かせる資格なので取って損はありません。
ぜひこれを機に、ITパスポートに興味・関心のある方は資格取得を目指しましょう。
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