スピッツ初期の名盤、アルバム「名前をつけてやる」を買いました。
短めな時間のアルバムですが、初期スピッツの繊細さ・シュールさ・懐かしさを存分に味わえる作品でした。
名曲「プール」を目当てで購入したのですが、3rdシングル「魔女旅に出る」、その他にも「ウサギのバイク」「鈴虫を飼う」「胸に咲いた黄色い花」「あわ」などクセになりそうな良曲がならんでいます。
将棋の天才、藤井聡汰さんのお気に入りのアルバムでもあります。
今回は、本作に興味がある人向けに、スピッツのアルバム「名前をつけてやる」の概要や収録曲を紹介していきたいと思います。
アルバム「名前をつけてやる」の概要

アルバム「名前をつけてやる」は、スピッツの2作目のオリジナルアルバム。1991年11月25日にポリドールより発売されました。
本作では、ボーカル草野さんが当時影響を受けていたライドのシューゲイザー*¹の要素と、前作「スピッツ」でも見られた歌謡曲の要素を融合させました。
本作は、いわゆる「ライド歌謡」を目指して作り上げられた作品です。
*¹シューゲイザーは、ロックミュージックのスタイルの一つ。
フィードバック・ノイズやエフェクターなどを複雑に用いた深いディストーションをかけたギター。ミニマルなリフの繰り返し、ポップで甘いメロディを際立たせた浮遊感のあるサウンド。ささやくように歌い上げるボーカルなどが、一般的特徴として挙げられる。
「シューゲイザー」wikipediaより引用
オリジナル盤は廃盤となり、LAのエンジニアによりリマスタリングが行われ、2002/10/16に再発売されました。
アルバムには「snoozer」編集長によるライナーノーツが封入されていました。それによると、スピッツが日本でオルタナティブ*²な感性を取り入れた先駆者であると述べられています。
*²オルタナティブ(Alternative)とは、「もう一つの選択、代わりとなる、代替手段」という意味の英語の形容詞。オルタナ・ロックは、大手レコード会社主導の商業主義的な産業ロックやポピュラー音楽とは一線を画し、アンダーグラウンドの精神をもつロックのジャンルである。
「オルタナティブ・ロック」wikipediaより引用
ちなみに、ジャケットに写る猫の名前は「このみちゃん」です。
アルバム「名前をつけてやる」の収録曲とレビュー

ここから、アルバム「名前をつけてやる」の収録曲を紹介していきます。
①ウサギのバイク

アルペジオで始まるイントロが印象的です。1番は「ラララ…」「tu tu tu…」とスキャットのみで歌っています。2番は歌詞を交えて歌っています。
のどかな情景が浮かんできますね。壊れそうなバイクに乗って運転しているウサギの姿にシュールさを感じます。
草野マサムネさんのお気に入りの曲としても有名です。
②日曜日

ミディアムテンポのロックナンバー。歪んだギター音が特徴的です。
③名前をつけてやる

アルバムの表題曲。草野さん曰く「その辺の猫や草木に名前をつけてやると強がっている曲」。
しかし歌詞を読むと
名前をつけてやる 残りの夜が来て
むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て
スピッツ 名前をつけてやる「名前をつけてやる」より引用
男女の夜の営みまでの過程が描かれているようで、ドキドキします。
サウンド面では、シューゲイザーの表現が印象的です。
④鈴虫を飼う

歌謡曲の要素が詰まった、ノスタルジックあふれる佳曲。
発売時、リアルタイムでは聴いていなかったのですが、とても懐かしく感じられる曲です。
歌詞の主人公は鈴虫を飼って、お家で一人、くつろいでいるシーンが思い浮かびます。
⑤ミーコとギター

サイケデリックな音響が印象的なロックナンバー。短い曲ですが、一度聴いたら忘れられないメロディーです。
ちなみに、ミーコとは架空の女の子の名前です。
⑥プール

イントロから鳥肌ものの名曲。本作の中でもっとも一般受けする曲ではないでしょうか。
この曲は、Aメロがサビの役割もしています。
つまり
君に合えた 夏蜘蛛になった
ねっころがって くるくるにからまってふざけた風のように 少し揺れながら
スピッツ 名前をつけてやる「プール」より引用
の所です。
いわゆる本サビの部分
独りを忘れた世界に 白い花 降りやまず
でこぼこ野原を 静かに日は照らす
スピッツ 名前をつけてやる「プール」より引用
は高音で歌っています。どちらも素晴らしい歌詞・メロディーですね。
2分35秒~3分15秒ぐらいまで、水面の底に潜り込んでいる様子が見事に表現されています。
ちなみに「プール」は、アニメ「ハチミツとクローバー」の挿入歌として使用されました。
⑦胸に咲いた黄色い花

ギターリフはXTCの「Mayor of Simpleton」へのオマージュです。当時メンバーは黄色い花を贈られることが増えたと言われています。
素敵な曲ですね。
⑧待ちあわせ

パンクバンドの一面が垣間見れるナンバー。
帰らぬ日々 澄んだ水の中に
スピッツ 名前をつけてやる「待ちあわせ」より引用
という表現が切ないです。
⑨あわ

ジャズを意識した4ビートの曲。仮タイトルは「シャボン」。
柔らかいメロディーとボーカルが良い味出しています。
⑩恋のうた

スピッツがパンクロックから転向するきっかけとなった曲です。草野さんがアコースティックギターで作曲した初めての曲です。
とてもシンプルなラブソングですね。
⑪魔女旅に出る

3rdシングル。バンド演奏にストリングスを導入した初めての曲であり、スピッツ史上初めてのタイアップソングです。
素敵なバラードソングですが、別れの歌に聴こえてきます。主人公が哀しみを乗り越えて、旅立つ様子が描かれています。
ぼくはこの曲を聴くたびに、ジブリ作品の「魔女の宅急便」を思い出します。
アルバム「名前をつけてやる」はスピッツ初期の最高傑作
いかがでしたか。
スピッツのアルバム「名前をつけてやる」の概要や収録曲を紹介してきました。
曲目から、秋の夜長の季節に聴くにはピッタリのアルバムと思い書いてみました。
アルバム「名前をつけてやる」はスピッツ初期の最高傑作といっても過言ではありません。
気になる方は是非、手に取ってみてください。
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