『パーフェクト・デイズ』考察|平山の過去と完璧な日々の謎を解読!

この記事は約11分で読めます。

今回紹介する作品は、映画「パーフェクト・デイズ」です。

デジタル機器に囲まれた生活が当たり前になった今、本作で描かれる暮らしぶりはとても新鮮でした。

役所広司さん演じる平山は、ネットも使わず淡々とトイレ清掃員として働きながら、アナログな毎日を積み重ねています。

決して派手さはないけれど、その質素な生活ぶりから「小さなことを丁寧に続ける力」の大切さを教えてくれる作品です。

この記事では、本作のテーマや見どころ、役所広司さんの演技、印象に残った部分をネタバレ考察していきます。

PERFECT DAYS-Official Trailer

映画「パーフェクト・デイズ」が描くテーマ

映画「パーフェクト・デイズ」は、日常の中にある”完璧な瞬間”の尊さを描いた作品です。

平山の生活はとてもシンプルです。

毎朝同じ時間に目覚め、決まったルートで職場へ向かい、公共トイレを清掃します。

昼休みには木漏れ日を見上げ、夜は好きな音楽をカセットで聴き、本を読んで眠りにつく。

まるでルーティンの繰り返しのように見えますが、その一つひとつを丁寧に続ける力が、彼の暮らしを豊かにしています。

例えば、木漏れ日を見上げるワンシーン。

都会の喧騒に埋もれがちな“自然の美しさ”を、丁寧に味わい続けています。

便利さや効率を求める現代社会と対照的に、平山の生活は「小さなことを丁寧に続ける力」が人生を豊かにすることを示しています。

映画「パーフェクト・デイズ」のあらすじ

トイレの清掃作業
出典:「VOGUE JAPAN

東京都内でトイレ清掃員として働く平山。彼の一日は、早朝の車通勤~トイレ掃除から始まる。食事も簡素で、余暇には音楽や読書を楽しむだけ。

しかしそんな生活の中に、思いがけない人との出会いや過去の記憶が少しずつ顔を覗かせる。

姪のニコとの再会をきっかけに、彼の背負ってきた人生の断片が垣間見えるが、それでも彼は静かに一日一日を積み重ねていく。

大きな事件は起こらないものの、彼の日常は登場人物の心をじんわりと揺さぶる。

映画「パーフェクト・デイズ」の概要と主なキャスト

姪とベンチに座る平山
出典:「映画.com

映画「パーフェクト・デイズ」は2023年に日本・ドイツ合作で制作された作品です。

上映時間は124分で、ジャンルはヒューマンドラマとなっています。

主なキャストとして、以下が挙げられています。

  • 役所広司(平山役)…本作の主人公。トイレ清掃員として丁寧に仕事に励む。アナログ・ミニマムな生活を送っている。
  • 柄本時生(タカシ役)…平山の部下。アルバイト感覚で清掃員として働く。
  • 中野有紗(ニコ役)…平山の姪。平山との再会に心がときめく。
  • アオイヤマダ(アヤ役)…タカシの友人。タカシからアプローチされるが頑なに拒む。
  • 麻生祐未(ケイコ役)…平山の妹。
  • 石川さゆり(ママ役)…平山行きつけのスナックのママ。歌が上手。
  • 三浦友和(友山役)…ママの元夫。

本作は、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所広司さんが日本人俳優としては、19年ぶり2人目となる男優賞を受賞しました。

また2024年の第96回アカデミー賞で、日本代表作品として国際長編映画賞にノミネート。

監督は、名作「パリ、テキサス」を手掛けたヴィム・ヴェンダースによって描かれています。

以下のリンクで、映画「パリ、テキサス」のレビュー記事を書いているので参考にしてみてください。

映画「パーフェクト・デイズ」のネタバレ考察

平山の生活は、“不完全さを抱えながらも完璧な日々を生きる”ことの象徴です。

彼の暮らしには、孤独や過去の影が確かに存在しています。

姪との再会は、家族や過去に背を向けてきた人生を示唆しています。

また、同僚や知人とのやりとりからも、彼が社会的に「成功」とは言えない立場にいることが理解できるでしょう。

それでも平山は穏やかに、日常を受け入れて生きています。

特に印象的なのがラストシーン。

車を運転する彼の目から溢れる涙は、過去の喪失・孤独の深さを物語っています。

彼は何故泣いていたのでしょうか?

実は「ニコ=実の娘」説が、映画を観た人の間でけっこう語られている考察のひとつです。

例えば

  1. 姪への感情の強さ…平山がニコに見せる態度は、叔父というより「父親」に見えるシーンが多いです。彼女を見守る姿勢は「血のつながり」の濃さを思わせます。
  2. 元妻らしき人物との抱擁…終盤に出てくるケイコとの再会シーン。抱擁の仕方や漂う空気感に「過去に夫婦だった関係」と考えても違和感がありません。
  3. 過去を多く語らない構造…ヴェンダース監督はあえて説明を省き、余白を残しています。平山がニコから「おじさん」と呼ばれていますが、母親ケイコが過去を隠している表れからかもしれません。

つまりラストの涙は、ただの孤独ではなく「過去の家族を思いながら生きる決意」とも解釈できます。

このように、映画「パーフェクト・デイズ」で描かれているのは、決して“完璧な人生”ではありません。

不完全さの中でこそ、一日の中にある小さな完璧を見出すことが本作の核心といえます。

映画「パーフェクト・デイズ」を観た感想(ネタバレ)

役所広司さんの演技が、映画「パーフェクト・デイズ」を特別な作品なものにしています。

セリフは極端に少ないのに、仕草や表情だけで語る役所さんの演技は圧巻でした。

特に印象的だったのは、トイレ清掃員として働く平山の姿です。

多くの人が敬遠しがちな仕事であり、私にはどうしても「不憫だな」と感じてしまう場面がありました。

ただ丁寧さ・誇りを持って働く平山の姿からは、そのような暗い雰囲気はほとんど感じられません。

清掃後に見せる静かな表情からは、むしろ「誠実に役割を果たす清々しさ」が感じ取れます。

また、以下のシーンが印象的です。

アナログな日々の中で、小さな楽しみを丁寧に続けることが、彼の暮らしを支えている。

その積み重ねが「不憫さ」を「静かな誇り」に変えているようにも受け取れます。

映画「パーフェクト・デイズ」考察まとめ

平山と姪との見つめ合い
出典:「FASHION PRESS

映画「パーフェクト・デイズ」は、現代を生きる私たちに「本当の豊かさとは何か」を問いかける作品です。

デジタル機器の便利さに囲まれながらも、どこか満たされない時代に、平山の質素で静かな暮らしが逆に輝いて見える。

木漏れ日の下でご飯を食べ、好きな音楽をカセットで聴き、本を読んで一日を丁寧に終える。

こうした小さな習慣の中に、人生を豊かにするヒントがあることを本作は教えてくれます。

派手な演出はないですが、ついつい何度も観てしまう。そんな余韻を与えてくれる作品でした。

役所広司さんの味のある演技とヴィム・ヴェンダース監督の映像美が調和した、まさに“完璧な一日”を描いた映画と言えるでしょう。

日々の生活を見直したいと思っている方は、是非一度観てみてください。

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