今回紹介するのは、映画「パリ、テキサス」です。
1984年制作と古めの映画ですが、ネットでの高評価が多かったので観ました。
テキサスを一人放浪していた男が妻子と再会するロードムービーです。1984年の第37回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しました。
今回は、映画「パリ、テキサス」のあらすじや考察を紹介していきます。
映画「パリ、テキサス」のあらすじ
4年前に妻子を捨てて失踪したトラヴィスが、テキサスの砂漠を歩いていた。
彼はガソリンスタンドに入り、冷蔵庫の氷を口に含んでそのまま倒れた。
彼の空っぽの財布から一枚の名刺を見つけた医師が、トラヴィスの弟ウォルトに連絡を取る。
連絡を受けたウォルトは、逃げ出そうとするトラヴィスに手を焼きながら、車で妻とトラヴィスの息子が待つロサンゼルスへ向かう。
当初まったく喋らなかったトラヴィスだが、やがてテキサス州のパリスに行こうとしていたことを明かす。
トラヴィスによると、パリスは彼らの両親が初めて出会った土地であり、それ故トラヴィスはパリスに土地を買ってあるのだという。
ロサンゼルスで息子のハンターと再会したトラヴィス。
ある日トラヴィスは、ウォルトの妻アンから予期せぬことを教えられる。
ヒューストンにいるトラヴィスの妻ジェーンが、ハンターの口座に月に一度、送金をしていたのだった。
トラヴィスは中古車を買い、ハンターと共にヒューストンに向かう。ヒューストンのテレフォンクラブで働いているジェーンを見つけたトラヴィス。
放浪の旅に出るきっかけを話している内に、ジェーンは客がトラヴィスであることに気づく。
映画「パリ、テキサス」の概要と主なキャスト
映画「パリ、テキサス」は、1984年に西ドイツ・フランスで合作制作された作品で、上映時間は146分。ジャンルはヒューマンドラマ・ロードムービーとなっています。
主なキャストとして以下が挙げられます。
- トラヴィス・ヘンダーソン(バリー・ディーン・スタントン)…本作の主人公。妻と別れてから4年間、テキサス州の砂漠を放浪していた。
- ジェーン・ヘンダーソン(ナスターシャ・キンスキー)…トラヴィスの妻。夫と別れてからヒューストンに移住して、テレフォンクラブで働いている。
- ハンター・ヘンダーソン(ハンター・カーソン)…トラヴィス夫婦の子供。両親がいなくなって後、トラヴィスの弟夫婦に預けられていた。
- ウォルト・ヘンダーソン(ディーン・ストックウェル)…トラヴィスの弟。看板のペンキ塗りの職人。
なお映画「パリ、テキサス」のパリは、フランスのパリではなくテキサス州にあるパリスを指しています。
映画「パリ、テキサス」で家族が引き裂かれた原因を考察
ここから、映画「パリ、テキサス」で家族が引き裂かれた原因を考察していきたいと思います。
本作では、砂漠を放浪していたトラヴィスが子供ハンターと再会し、その後妻ジェーンを捜し出す展開です。
トラヴィスは映画の冒頭からしばらく無言の状態でした。そのため彼は、精神的な問題(抑うつ状態?)を抱えていたと思われます。
ただ息子ハンターと再会した頃から、徐々に心を開き始め、それに伴いハンターも仲良くなっていきます。彼らはそのままヒューストンに旅に出ることに…。
ヒューストンのテレフォンクラブでジェーンを捜し出したトラヴィスは、彼女との受話器越しの会話を試みます。その中で、家族が引き裂かれた原因が浮き彫りになっていきます。
結婚生活では、いろいろな問題が発生していました。
例えば
- トラヴィスがわざと遅く帰っても、ジェーンは嫉妬しなかった
- ジェーンが息子ハンターに対して、ぞんざいな扱いをしていた
- トラヴィスがジェーンを物理的に束縛し始めた
これらの原因が重なって、夫婦は離れ離れになります。ハンターが一番の犠牲者なのは言うまでもありません。
映画「パリ、テキサス」はもやもや感が残る結末
結局、トラヴィスはジェーンとの電話越しのやりとりで和解します。
ジェーンはハンターと無事再会し、再び生活を共にすることにしました。
ただトラヴィスは、その様子を見届けて、別れを決意しその場から立ち去ります。
彼は「これ以上関わらない方が良い」とでも思ったのでしょうか?
家族愛の復活というハッピーエンドとはいえ、もやもや感が残る結末でした。
映画「パリ、テキサス」は美しい風景と家族愛を描いた名作
映画「パリ、テキサス」は、美しい風景と家族愛を描いた名作です。
本作は、ニルヴァーナのカートコバーンが絶賛した映画だといわれています。
個人的には
- テキサスの自然の美しい描写
- ナスターシャ・キンスキーの美貌と演技力
- 家族愛の再生と別れ
- 情感あるスライドギターの音色
上記が本作の肝であり、作品の魅力を引き出していると感じました。
気になる方は、ぜひご覧になってください。
なお本作で流れているBGMは、スライドギターの名手ライ・クーダーによるものです。
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