今回紹介する作品は、映画「ギルバート・グレイプ」です。
ジョニー・デップ扮する主人公ギルバートは、家族からは勿論、周囲の人たちからも愛されていました。
なぜ地位も名誉もなく、何も成し遂げていない男が愛されていたのでしょうか?
本記事では、映画「ギルバート・グレイプ」のあらすじを踏まえて、ギルバートが愛された理由を深掘り考察していきます。
映画「ギルバート・グレイプ」のあらすじ

アイオワ州の寂れた町、エンドーラ。
ここで暮らすギルバート・グレイプの日常は、常に家族の世話を中心に回っている。
父親が自殺して以来、母親のボニーは過食症になり家から一歩も出られず、弟のアーニーは知的障害を抱え、常に誰かが目を光らせていなければならない。
ギルバートは地元の食料品店で働きながら、家を支え、アーニーを風呂に入れ、家族の面倒を一手に引き受ける。自分の夢や欲求は二の次だ。
そんな閉塞感に満ちた日々の中、車の故障で町に滞在することになった自由奔放な女性、ベッキーと出会う。
彼女との交流を通じて、ギルバートは「自分自身の人生」と、重くのしかかる「家族への責任」の間で激しく葛藤し始めることになる。
映画「ギルバート・グレイプ」の概要と主なキャスト

映画「ギルバート・ブレイク」は、1993年に制作されたアメリカ作品で、ジャンルはコメディ・ドラマになっています。
主なキャストとして、以下が挙げられています。
- ジョニー・デップ(ギルバート・グレイプ役)…グレイプ家の次男。長男は独立し父親は亡くなっているため、一家の大黒柱になっている。小さな食料品で働きながら、障害を持つアーニーの面倒を見ている。
- レオナルド・ディカプリオ(アーニー・グレイプ役)…グレイプ家の三男。知的障害のある少年で、作中で18歳の誕生日を迎える。高いところに登るのが好きで、家族が自紙を探す様子をみて楽しんでいる。
- ジュリエット・ルイス(ベッキー役)…若い女性。出会ったアーニーとはすぐに打ち解け、ギルバートに影響を与える存在となる。
- ダーレン・ケイツ(エイリー・グレイプ役)…ギルバートの母親。最愛の夫を自殺で亡くしたショックから過食症になり、かなりの肥満体型になる。
- ローラ・ハリンソン(エイミー・グレイプ)…ギルバートの姉。
- メアリー・ケイト・シェルハート(エレン・グレイプ役)…ギルバートの妹。
「ギルバート・グレイプ」はピーター・ヘッジズの同名小説を映画化した作品で、レオナルド・ディカプリオがアカデミー賞にノミネートされました。
映画「ギルバート・グレイプ」を観た感想
映画「ギルバート・グレイプ」を観終わった後、心の奥底がじんわりと温かくなると同時に、言葉にできない余韻が残る名作でした。
誰もが抱える「家族という名の呪縛」と「そこにある愛」を、綺麗事だけで終わらせずに描いています。
特にアーニーが18歳の誕生日を迎えるまでのハラハラ感や、母ボニーが最期に見せた「母としてのプライド」には胸を打たれました。
また、若き日のディカプリオの演技は、役そのものにしか見えないほど凄まじく、彼を守ろうとするギルバートの疲弊した表情がリアルで痛々しく感じます。
本作は、派手な成功物語ではありません。
しかし、不自由な日常の中で必死にもがく人々の姿を肯定してくれる、救いのある作品でした。
映画「ギルバート・グレイプ」のネタバレ考察
ギルバートが愛された理由は、自分の人生を投げ打ってでも「他者の尊厳を守り抜く強さ」を持っていたからです。その最たる証拠が、ラストの「家を焼き払う」という決断に現れています。
彼は、家族を縛る苦しみや世間の冷たい目から、本当の意味で家族を「解放」する覚悟を持っていたからです。家を焼く行為は、亡き母を嘲笑の対象にさせないための、彼にしかできない究極の愛の形でした。
巨体の母を家から運び出すにはクレーンが必要であり、それは町の野次馬に母を晒し者にすることを意味しています。
ギルバートは、父の自殺や母の引きこもりの象徴であった「古い家」をあえて燃やすことで、母のプライドを守ると同時に、自分たちを縛り付けていた過去をすべて灰にしました。
この「自己犠牲を厭わない深い愛」が、家族やベッキーを惹きつけてやまない彼の本質です。
地位も名誉もありませんが、一人の人間の尊厳を命がけで守れるギルバートは、誰よりも高潔で愛される男だったといえます。
映画「ギルバート・グレイプ」考察まとめ

本作は、何も成し遂げていないように見える一人の青年が、実は「愛する人を守る」という最も困難で偉大な仕事を成し遂げる物語です。
社会的な成功を収めることだけが人生の価値ではなく、目の前の大切な人のために自分を捧げることも、一つの尊い生き方であると教えてくれます。
家を焼き払い、すべてをゼロにして旅立つラストシーンは、彼がようやく「誰かのための自分」から「自分のための人生」を歩み始めたことを象徴しています。彼を愛した家族やベッキーは、その新しい門出を心から祝福していました。
ギルバートが愛されたのは、彼が誰よりも人間らしく、不器用ながらも誠実であったからだといえます。
人生に迷い、自分に何もないと感じたとき、この映画は「あなたの優しさ・強さには価値がある」とそっと背中を押してくれる…そんな良作となっています。
気になる方は、是非ご覧になってください。


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