2025年の「本屋大賞」は、阿部暁子さん(39)の「カフネ」(講談社)に決まりました。
小説「カフネ」は、弟を突然亡くした野宮薫子が、弟の元恋人・せつなと出会い、家事代行サービス会社「カフネ」での活動を通じて、互いの距離を縮めてゆく物語です。
阿部暁子さんは、私の母校(花巻北高校)の後輩でもあるので、驚きと喜びで交じり合った感覚になりました。
この記事では、小説「カフネ」のあらすじや登場人物、オススメな読者像まで深掘り考察していきたいと思います。
本屋大賞作「カフネ」のあらすじ

主人公の野宮薫子は、法務局に勤める41歳の女性。
彼女は長年の不妊治療が実らず、さらに夫・滝田公隆(41)から突然離婚を切り出され、深い悲しみに沈んでいた。
そんな中、最愛の弟・春彦(29)が突然の死を遂げ、彼女の心は打ちのめされる。
春彦の遺言書には、彼の元恋人である小野寺せつな(29)に遺産を譲る旨が記されていた。
薫子はその意向を伝えるために、せつなに会いに行きますが、彼女は遺産を受け取ることを拒否する。
せつなは家事代行サービス「カフネ*」で料理人として働いており、春彦とはカフネを通じて知り合っていた。
せつなが働く「カフネ」は、依頼者から贈られたチケットを用いて、無償で家事代行サービスを提供する特別な活動を行っていた。
薫子はひょんなことから、この活動を手伝うことになり、せつなと共に様々な家庭を訪れるようになる。
そこでは、育児や介護に疲れた人々、生活に困難を抱える人々と出会い、彼らのために掃除や料理を提供する。
これらの活動を通じて、薫子とせつなは互いの距離を縮めてゆく。
薫子は努力家でありながらも人生の挫折を経験し、せつなは過去の傷を抱えながらも他者に寄り添う優しさを持っていた。
二人は共に支えあいながら、自らの心を癒し、新たな人生の一歩を踏み出してゆく。
*カフネとは、ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」を意味します。
本屋大賞作「カフネ」に出てくる登場人物
ここから、本屋大賞作「カフネ」に出てくる主な登場人物を紹介します。
- 野宮薫子…法務局勤務の主人公。誠実な努力家ゆえに、他人に頼るのが苦手。情に厚い。
- 小野寺せつな…春彦の元恋人。料理上手で「カフネ」という家事代行サービス会社に勤める。
- 野宮晴彦…薫子の弟。しっかり者で明るい。原因不明の休止を遂げる瞬間まで、せつなと交際していた。
- 滝田公隆…薫子の元夫。弁護士。空気を読むのが上手く、細やかな気遣いができる。春彦と仲が良かった。
- 常盤斗季子…家事代行サービス会社「カフネ」の代表。落ち着いていて、包容力がある。
本屋大賞作「カフネ」を読んでほしい読者像
ここから、本屋大賞作「カフネ」を特に読んでほしい読者像を挙げてみます。
自立心が強い反面、寂しさを抱えている人には特にオススメな作品です。
①人間関係や喪失に悩んでいる人
愛する人との別れや、人生の転機で深い孤独を感じている人にとって、この物語は「悲しみの中でも人とつながることができる」という希望を与えてくれます。
弟を亡くした薫子と、彼の元恋人・せつなが少しずつ心を通わせる過程は、喪失を経験した人の胸に響くはずです。
②優しさや思いやりに飢えている人
人の温かさや、さりげない親切に触れたいと感じている読者にもぴったりです。
「カフネ」の家事代行サービスは、単なるサービスではなく「気持ちを届ける仕事」。その一つひとつのエピソードが心をじんわりと温めてくれます。
③人に頼るのが苦手な人、自分を責めがちな人
主人公・薫子も、せつなも、自立心が強くて人に弱音を見せにくい性格です。
だからこそ、物語を通して「人に頼ってもいい」「誰かと一緒にいていい」というメッセージに救われる人も多いと思います。
④40代以降の女性読者、人生に疲れている人
主人公・薫子が41歳で離婚・不妊治療の経験者という設定から、同年代の女性読者には共感ポイントが多いです。
また、人生に少し疲れている人にとっては「再出発の物語」として心に残る作品になるでしょう。
本屋大賞作「カフネ」考察まとめ
この記事では、2025年本屋大賞作「カフネ」のあらすじや登場人物、オススメな読者像まで深掘り考察してきました。
小説「カフネ」には事件性やスリルはないのですが、穏やかで、じんわりと涙がこみ上げるような読後感を味わえます。
読み終わった後、「また歩き出せる」と思わせてくれるような、そんな優しい物語に仕上がっているため、心が疲れた時にピッタリな作品です。
是非これを機に、本作を読んでみましょう📚
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